【世にも美しい波動の上がる音楽 11】 これを聴いただけで「天国がある」と確信できるほどの旋律美を誇る音楽 BEST3! 第2曲は、【スターシードだった】モーツァルトの、フルートとハープによる美しい協奏曲から!!
- 【世にも美しい波動の上がる音楽 11】 これを聴いただけで「天国がある」と確信できるほどの旋律美を誇る音楽 BEST3! 第2曲は、【スターシードだった】モーツァルトの、フルートとハープによる美しい協奏曲から!!
- 「フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K.299(第1楽章)」
これを聴くと、天国があると確信できる。そういう音楽をご紹介するシリーズの、第2作目を、きょうはご紹介します!
発表したBEST3は、以下のとおりでした。
「ポストホルン・セレナード ニ長調 K.320(第4楽章)」
「フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K.299(第1楽章)」
「スラヴ舞曲 作品 72-8」
シリーズの1番手は、スターシードの誇り、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの「ポストホルン・セレナード」から、第4楽章の「ロンド」でした。みなさんは、この曲で、天国があると確信できましたか?
それでは、期待の第2番目の音楽について、さっそくみてみましょう!!
「フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K.299(第1楽章)」
いきなり、開始早々、
「ここは天国か!」
と思わせる、ゴージャスな音型が盛りだくさんの、これも、音楽の天才、【スターシードだった】ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの作品になります。
この曲は、フランス滞在中に、音楽愛好家の貴族から依頼されて作曲しました。
西暦1778年に、当時22歳のモーツァルトは母とともに、地元オーストリア・ザルツブルクを離れ、フランス旅行に出ました。大都会パリで、職を見つけることを念頭に置いた旅で、その最中に、貴族のド・ギーヌ伯爵からの作曲依頼というかたちで仕事が舞い込んできました。
しかし、当時の楽器の性能として、フルートも、ハープも、こんにちのような美しい音ではなく、かすれた、くすんだ音色だったため、さらには、演奏方法も改良が加えられた現代式とは違って操作性に難があり、かりにうまく演奏できたとしても現代ほどの美しい音響は得られなかったようです。
また、さきの依頼主であるド・ギーヌ伯爵も、なかなか演奏技術が向上せず、作曲にも(演奏しやすいように)配慮したと、作曲者モーツァルト本人が語っています。
ゆえに、モーツァルトは、フルートとハープという楽器に、積極的に魅力を感じて作曲したのではなく、楽器の性能がよくない時代であり、かつ、依頼主の演奏技術も上達していないことから、貴族からの注文を受けて、しかたなく、あまり乗り気にならないまま、ビジネスライクに書いた作品である、と言われています。
しかし、驚くべきは、そのような事情にもかかわらず、この協奏曲の、なんと芸術的な完成度の高いことでしょうか!! 天国そのものが眼前にひろがるのを、あなたは感じるでしょう。
特に、第1楽章では、春爛漫の天上界から桜の花びらが舞い降りてきそうなほど、贅沢な旋律が散りばめられています。
もともと、フルートやハープといった楽器は、天国を連想させます。華やかなメロディーに満ちあふれた独奏楽器に、オーケストラがバックアップするとなると、本当に、いま自分のいる場所こそが天国であると錯覚してしまいかねません。
今回は、その第1楽章をくわしくみていくことにしましょう!
今回、初めてモーツァルトの記事に接する方は、以下の記事の前半をご覧ください。
モーツァルトの生涯について、概要をまとめています。
これまで継続してご覧になってきた方、特に、モーツァルトについての過去記事をご覧になってきた方は、直接、曲の説明に行ってください。
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★聴くだけで目頭が熱くなり、心が潤い、波動が上がる【スターシードだった】モーツァルトの穏やかな音楽編 3選!!★
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①まず、検索窓に、「K.299」と入力する。
モーツァルトの作品は、ケッヘル番号である「K.〇〇〇」と表記されますので、最初から、この番号を入力すると絞り込みができます。
②「楽曲」の右端にある、「すべてを表示」をクリックし、演奏家を探す場合、「リリー・ラスキーヌ、Jean-Pierre-Rampal(ジャン・ピエール・ランパル)・・・」、曲名は、「Concerto pour flûte et harpe en Ut・・・」を選ぶ。
③第1楽章がどれかわかりにくいため、演奏時間が、「10分37秒」となっているものから探し、選んでみる。
ジャン・ピエール・ランパルは、間違いなく20世紀で最高の、フルートの名人芸の極致をきわめた演奏家です。リリー・ラスキーヌのハープも繊細かつ歯切れの良さを誇り、愛に満ちた至福の録音となりました。
この演奏で聴いたら、天界のイメージが浮かんでこないはずがありません。きっと、演奏家たちも、そんなきよらかなイメージをもって、魂を込めて楽器と渾然一体となり歌い上げているようすが、いきいきと目に浮かぶようです。
演奏時間 : 10分37秒
曲の形式 : 協奏風ソナタ形式
アレグロ(快速に)
ハ長調
オーケストラ提示部 第1主題 : 0分00秒 ~ 0分39秒
★まず、総奏で、第1主題が示される部分です。まだ、独奏楽器は登場しませんが、出だしから優美な旋律にあふれています。
オーケストラ提示部 第2主題 : 0分40秒 ~ 1分24秒
★総奏による第2主題。このオーケストラ提示部で、曲全体の雰囲気が分かる仕組みになっているのが、「協奏風ソナタ形式」の特徴です。この部分は、コーダに用いられることになる音型でしめくくられています。
ただし、協奏曲における「オーケストラ提示部」で、第2主題が登場しない作品もあります。
たとえば、モーツァルトの『ピアノ協奏曲 第21番 ハ長調 K.467』の冒頭(第1)楽章のオーケストラ提示部では、第2主題は出てきませんし、ベートーヴェンの『ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 作品19』の第1楽章でも、第1主題が変奏されるばかりで、ついに第2主題は登場しないまま、提示部に入っていきます(もちろん、どちらの曲でも提示部および再現部では、第2主題が独奏楽器【ピアノ】によって華やかに演奏されることになります)。
提示部 第1主題 : 1分25秒 ~ 2分53秒
★フルートとハープが颯爽と春風に乗るかのごとく、軽やかに登場します。ハープは分散和音を中心に伴奏もしますが、主旋律を歌う場面も多く、聴きどころが満載の箇所です。
2分11秒 から始まるフルートの伸びやかなメロディーは第2主題ではなく、副次主題とされています。モーツァルトの作品に限っては、主題がたくさん出てきて、どれが第2主題なのかというほど、豊富すぎるほど散りばめられているのが彼の作風の特徴となっています。
提示部 第2主題 : 2分54秒 ~ 4分14秒 (コデッタを含む)
★フルートとハープが天使たちの喜ばしい会話のごとく、優雅な語らいを展開する場面です。
展開部 : 4分15秒 ~ 5分32秒
★展開部では、第2主題のハープによる旋律をやや変形させた形をとるイ短調の音階により、味わい深い表情で推移していきます。やがて、フルートがトリルを繰り返し、上昇しながらクレッシェンドで華やかに演出し、再現部につなげていきます。
再現部 第1主題 : 5分33秒 ~ 6分59秒
★ここでも、6分13秒 から副次主題があふれる泉のように流れ出てきます。
再現部 第2主題 : 7分00秒 ~ 8分18秒 (コデッタを含む)
★提示部と再現部とでは、微妙に楽器を入れ替えながら、憂いの影もなく晴朗とした旋律が歌い上げられます。
カデンツァ : 8分19秒 ~ 9分57秒
★カデンツァとは、独奏楽器の奏者が好きな旋律を演奏し、腕前を披露する聴かせどころでした。
モーツァルトはいったんカデンツァを作りましたが、自作のカデンツァは紛失してしまったので、ここでは、各演奏家が独自のカデンツァを演奏しています。ラスキーヌとランパルのカデンツァ部分は上質で、前後のモーツァルトが書いた旋律に溶け込んでいると言えるでしょう。そのままの勢いで、コーダに入ります。
コーダ(終結部) : 9分58秒 ~ 10分37秒
★豪華絢爛の極みといえる総奏により、この天国的な楽曲を歓喜のうちに閉じていきます。
《 カデンツァについて 》
作曲家も、演奏家があってこその存在ですから、聴衆に「この演奏家は、すばらしい。次のコンサートのチケットも買わなくては。」と思わせるためにアピールする箇所がぜひ必要だった時代がありました。
昔は、即興で、つまりその場の気分で演奏されていたりもしました。また、有名な演奏家や音楽家、楽器演奏の師匠が残したカデンツァを演奏するケースも見受けられます。さらには、自作のカデンツァを演奏する者もいます。
ただ、このカデンツァ部分があまりに長いと、曲全体の流れを阻害するように聴こえる場合があります。演奏家が自己の技巧を示そうとするあまり、作曲家の意図に反するような音階や不協和音を用いるケースが、それにあたります。
このような傾向をきらったのが、かのベートーヴェンでありました。
彼は、おそらく人類のピアノ協奏曲中での最高傑作と言える「ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 作品73」において、「わたしの協奏曲(第5番)には、カデンツァ部分は不要である。カデンツァを演奏することなしに、そのままコーダ(終結部)に進むように。」と宣言して以来、カデンツァは必ずしも演奏する箇所として、作曲家が作曲時に演奏家のために用意するべきではない、とされるようになっていったのでした。
しかし、モーツァルトの時代に作曲された音楽は、カデンツァ部分に現代の演奏者が自由に演奏できる余地がまだ残っていて、したがって、わたしたちも、その部分の演奏の鑑賞を楽しむ喜びがあるというわけです。
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最初に、Amazon公式ホームページのアカウントが表示されますので(そのまま直接、アルバムが表示される場合もあります)、そこから入って表示されるアルバムの中から、ご紹介した曲を選び、左端の再生ボタン(▶)をクリックしてください。
下記をクリックすると、曲のアルバムが表示されます(会員様限定です)。
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◎一番上に表示されている第1曲目が、第1楽章になります。
気に入りましたら、第2楽章、第3楽章も、聴いてみましょう。
ちなみに、第1楽章と同じ演奏で聴く場合、
★第2楽章は、アンダンティーノ(=アンダンテより、やや速く。アンダンテは、歩くような速さで、という意味で、それよりも少し速めに演奏する)、ヘ長調で、形式は、「展開部のないソナタ形式」です。
第1主題、第2主題とも、弦とフルート、ハープの穏やかで優しい旋律の流れに癒されるはずです。
清澄な響きを引き出す効果を狙って、モーツァルトはここで、オーボエとホルンを休ませる指示を出しています。このほうが、弦楽器とフルートとハープが溶け合い、音に深みが増すためでしょう。
第2楽章は、9分46秒の演奏タイムです。ゆっくり音に浸るのに、ちょうどよい長さではないでしょうか。
【第2楽章】
提示部 第1主題 0:00 ~ 1:17
★やさしい第1主題はオーケストラによる導入部から、フルート、ハープに受け継がれていきます。
提示部 第2主題 1:18 ~ 3:34
★第2主題も、夢見るような旋律が続きます。展開部はなく、フルートとハープによるこまかいパッセージで、再現部に至ります。
(展開部 なし)
再現部 第1主題 3:35 ~ 4:04
再現部 第2主題 4:05 ~ 6:28
カデンツァ 6:29 ~ 8:30
コーダ(終結部) 8:31 ~ 9:46
★第1主題に基づくコーダで、穏やかな表情のまま第2楽章は閉じられ、はつらつとした終楽章ロンドに向かいます。
◎上から2番目に表示されているのが、第2楽章です。
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★第3楽章は、アレグロ、ハ長調、ロンド形式の曲です。ロンド主要主題Aを中心に、副主題的な旋律がいくつも登場し、きらめきのうちに終曲していきます。
ここでのランパル盤では、9分51秒の演奏時間です。
ロンド形式ですが、やや変則的な形を取っていて、どのように解釈するかは人によって分かれると思います。ここではあえて、基本形や調性からの推定ではなく、聴きやすさを最重要視して、登場する主題ごとに、こまかく分類してみました(そのほかにも、いくつかの解釈は成り立ちますけれども(A-B-A-C-Aの変形であるとする説、下記のカッコ内で簡略に説明)、ここで詳細には扱いません)。
【第3楽章】
A 0:00 ~ 1:13 (ガヴォット(後述)風の、快活な主題Aです)
B 1:14 ~ 2:21 (この部分を経過句とする説もあります)
C 2:22 ~ 3:51 (上記の場合、ここが、Bとなります)
A 3:52 ~ 4:24 (2回目のロンド主要主題Aの登場です)
D 4:25 ~ 6:02 (2:22~をBとすると、ここがCになります)
C 6:03 ~ 6:42 (既出の旋律の経過句という見方もできます)
A’ 6:43 ~ 7:44 (主題Aの一部からコデッタに連なる音型です)
カデンツァ 7:45 ~ 8:53 (演奏者作のカデンツァです)
A(コーダ) 8:54 ~ 9:51 (主題Aの三現でコーダになります)
一般的に、ロンド形式の音楽は、頭で考えずに、心で聴くと、かえって鑑賞の度合いが深まると思います。
最初の主題Aが数回再現されるあいだに、いくつかのエピソード=副主題(B、C、Dなど)が出てくる形式、と捉えておくだけにして、あとは、音の流れに身を任せて聴くほうが、いちいち「これは主題A、次はB・・・」と頭で考えるよりも作品の真髄が心に届き、波動も上がるでしょう。
◎第3楽章については、上から3番目に表示されているものが、そうです。
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モーツァルトは、当時、前述のとおりフランスに旅行しており、フランス音楽の影響を受けていて、この『フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K.299』のフィナーレ(第3楽章)でも、ガヴォットというフランスの伝統的な2拍子の踊りの音楽(舞曲)から着想しています。
また、後年(西暦1786年、モーツァルト=30歳)に作曲された『ピアノ協奏曲 第25番 ハ長調 K.503』という堂々として明朗なコンチェルトのフィナーレ(第3楽章)においても、モーツァルトは同じようなガヴォット風の音楽に仕上げており、軽快で、にぎやかな趣を醸し出すことに成功しております。
★意外に、この曲を通して聞いた場合、第2楽章がいちばん、好まれるのではないかとも思いました。
しかし、この記事で取り上げた盤では、第2楽章がやや緩慢な気もします。
つまり、作曲者モーツァルトによりアンダンテより少し速い速度指定の「アンダンティーノ」が与えられているにもかかわらず、どちらかというと、アンダンテに近い、ゆっくりしたテンポといえるでしょう。第1楽章のアレグロについては、歴史的名演なのですが・・・。
そこで、最後に、第2楽章だけ、とりわけ美しい演奏を、ご紹介します。
上記の盤の演奏時間が「9分46秒」なのに比べて、こちらの演奏では「7分32秒」と、2分以上も短い。クラシック音楽ではよくあることで、また、それがさまざまな演奏を聴く尽きない楽しみを提供してくれているわけでもあります。
この第2楽章だけについてみれば、こちらの演奏のほうにモーツァルトの理想を具現化したような心やさしい息づかいが、そこかしこに感じられます。
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◎曲は、アルバムの1番上に、表示されていると思います。
(Amazon側の都合で、表示される曲の順序が変わる場合があります)
参考までに、タイムを記載しておきます。
提示部 第1主題 0:00 ~ 1:07
提示部 第2主題 1:08 ~ 3:06
(展開部 なし)
再現部 第1主題 3:07 ~ 3:33
再現部 第2主題 3:34 ~ 5:41
カデンツァ 5:42 ~ 6:38
コーダ(終結部) 6:39 ~ 7:32
もはや、ここでは言葉による説明は、要らないでしょう。モーツァルトの音楽には言葉を超えた、否、言葉以前に存在する美しい想念が満ちあふれているからです。わたしたちは沈黙して、宇宙にさえ連なる、もっと厳密に表せば、宇宙に由来する美のイデアを感じ取ることに集中しましょう。
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